日本花火暦 2026 — 夏から秋への137日を、ボクセルの列島で眺める

ボクセルで組んだ小さな日本列島に、2026年の花火を打ち上げました。7月1日から11月14日までの137日間を、約2分でめぐるデータビジュアライゼーションです。日めくりカレンダーに合わせて、その日の開催地に花火が開きます。週末ごとに光が増え、8月中旬にピークを迎えたあとは、秋の大会が点々と続く。83件を並べて見えてきたのは、そんな夏の短さでした。
花火がいつ、どこで上がっているのか。日本列島をまるごと眺めてみたいと思ったのが、制作のきっかけです。週末になればどこかの空が光っている。そんな夏が見えるはずだと思っていました。
会場を探す機能はありません。絞り込みもスライダーも省き、眺めることだけに絞りました。列島はボクセルを積み上げたミニチュアで、斜め上から見るとひとつのジオラマになり、その上に指先ほどの花火が開きます。高さは海岸線からの距離で決めました。正確な地形図よりも、花火が映える箱庭らしさを選んでいます。
7月前半は数日に一度どこかが光る程度ですが、週末を迎えるたびに増え、8月中旬には北海道から中国地方までが同じ夜に輝きます。翌日には、また静かな列島に戻ります。
花火が上がる日と、上がらない日
ところが、83件を日付順に並べると、花火が上がる日は137日のうち35日しかありませんでした。残りの102日は、暗い列島のまま日付だけが進みます。7月1日の東京競馬場に始まり、最後は11月14日のハウステンボスと、にし阿波。週末ごとにどこかが光っているつもりでいた夏は、思っていたよりも飛び飛びでした。
- 土曜日に集中:83件のうち54件が土曜日。日曜8件、月曜6件と続き、水曜と金曜が各5件、木曜3件、火曜2件
- 8月が中心:7月21件、8月52件、9月4件、10月3件、11月3件
- 最初の46日に65件:7月1日から8月15日までに65件が集まり、残る91日は18件
- もっとも華やかな夜は8月1日:14件が重なる。次いで多いのは、いずれも土曜日の7月25日と8月8日で、それぞれ8件
- 打ち上げ数は合計約116万発:最大は8月15日の諏訪湖祭湖上花火大会で4万発、中央値は1万2千発、最小は6千発
土曜日への偏りは、集めた83件に限りません。Walker Plusの全国集計でも、開催件数の多い日には土曜日が並びます。意外だったのは、お盆までの46日に大半が収まることでした。8月15日を過ぎると、列島が光る夜は数えるほどになります。9月から11月は、月に数回です。
小さな画面に詰め込んだもの
- ボクセルの日本列島:立方体を斜め上から積み上げた、花火のためのジオラマ。海岸線から離れるほど高くなる
- 日めくりカレンダー:和暦(令和八年)と月、日、曜日、その日の大会数を表示。日曜と祝日は赤、土曜は青、平日は墨黒で刷り、海の日や敬老の日には祝日名が朱で入る。日付が変わると左下の角から紙が捲れて飛んでいく
- 累計カウンター:「35/83」のように、その日までに登場した大会数をカレンダーの下へ表示
- 市町村名:開催地が列島に重ならないよう、最寄りの海へ引き出して表示
- 大会名リスト:その日の大会名と都道府県を、打ち上げ数が多い順に右下へ表示。8月1日のように10件を超える日は2列に分けて並べる
- 終幕:11月14日を過ぎると残り火とカレンダーが消え、「終」の文字が浮かぶ。タイトルと対象期間、大会数、出典を表示したあと、7月1日へ戻る
数字を花火に変える
大会ごとの花火の種類まで記録した公開データは見つかりませんでした。そこで、収集できた数字だけを見た目に写しています。大きさや連発数の違いには、すべてデータ上の理由があります。
- 打ち上げ数から連発数を決める:6千発なら3発、1万発なら4発、1万5千発なら5発、2万発以上なら6発
- 打ち上げ数から花火の大きさを決める:6千発と3万発で、開花半径が1.3倍ほど変わる
- 大会の規模から玉の種類を決める:菊、牡丹、冠菊、ポカ物の4種類。1万2千発を超える大会では、尾を長く垂らす冠菊を最初に上げ、ほかの玉を織り交ぜる
- 同じ日の大会は少しずつ時間をずらす:開催が集中する日も、一つひとつの花火を見分けやすくする
もとにしたデータ
- Walker Plusに掲載された2026年の花火大会952件を索引として使い、主催者と自治体の公式発表で1件ずつ確認してデータセットにした(2026年8月15日時点)
- 収録の条件は、2026年の全開催日を合わせた打ち上げ数が1万発以上であること。発数を公表していない大会は収録していない
- 7月1日から11月14日に開催されるのは、34都道府県の79大会。複数日にわたる大会は1日ずつ数えるため、画面に登場するのは延べ83件
- 収集した項目は、大会名と開催日、緯度経度、都道府県、市町村、打ち上げ数、開催回数、開催状態。緯度経度は会場のおおよその位置で、誤差は1km程度
- 1万発という線で切っているため、地域の小さな花火大会は画面に出てこない
なお本作品は、制作者個人の創作活動として制作したものです。UMT株式会社が業務として受注し納品したプロジェクトではありません。
- Member桑原真一郎
- CategoryData Visualization

